どうも、ゴローです。
今回は以下の悩みを解決する記事になります。
「うつ病で退職してしまった後でも労災申請できるのだろうか」
おそらく、過労やパワハラでうつ病となり、退職してしまった人は同じような悩みをお持ちだと思います。
実は、退職後の労災申請は法律で可能であることが定められています。
実際に、僕もうつ病で退職後に労災申請して、認定されています。
この記事ではその時の経験を踏まえて、労災申請できる理由や手順とポイントを紹介します。
もし、同じような悩みをお持ちでしたら、ぜひ、読み込んでみてください。
きっと、あなたの悩みを解決し、労災認定への道筋が理解できるはずです。
退職後に労災申請ができる理由
労働保険法第12条の5に定められているので、うつ病などの精神障害で退職していても労災申請を行うことは可能です。
引用:労働保険法第12条の5
僕が労災申請して、認定されるまでの流れ
僕もうつ病で退職後に労災申請をして、7ヶ月後に認定されました。
具体例として、時系列でうつ病発症から認定後までの流れをご紹介します。
・体調不良のため、通院した病院でうつ病と診断される。会社に診断書を提出し、即日、休職。
・休職1ヶ月後に会社から傷病手当金の案内が届き、手続きをする。
・休職から6ヶ月たった頃から、何度も退職勧奨を受けるが、拒否。体調も悪化。
・総合労働相談センターに相談し、休職前の勤務状況から労災の可能性や未払い残業代の可能性があることを指摘される。
・弁護士に相談
・労災申請のため、証拠などを整理する。
・休職から1年後に、就業規則の休職期間を過ぎていることを理由に解雇される。
・解雇後も傷病手当金を受給しながら、労災申請の準備をすすめる。
・労災申請のため、休業補償請求書を会社に提出し、事業主証明覧の記載を依頼をするが、会社側は拒否。
・労基署に休業補償請求書を提出し労災申請と会社に解雇無効の地位確認、未払い残業代と慰謝料請求の裁判手続き。
・労災申請から7ヶ月後、労災認定。
・労災認定後、傷病手当金の返還や療養費の精算を行う。
休職から労災認定を受けるまでのポイント
日頃から、過重労働やパワハラがある場合は、証拠を集めておくことが大事ですが、それ以外に重要なポイントを紹介します。
うつ病の診断
体調が優れずにうつ病ではないかと感じたら、心療内科で診察をしてもらいましょう。
その際に、仕事が原因だと思えば、会社での出来事について詳しく医師に伝えておきましょう。
診断書やカルテは、病気の発症の原因が仕事であることまでは証明してくれるわけではありませんが、後々、労基署の調査でカルテが調査対象となります。
うつ病などの精神障害の労災認定には基準があり、仕事以外の要因が発病に関係していないかどうか確認する必要があるためです。
そのため、仕事以外の要素が考えられないのであれば、そのことを医師にも伝え、カルテに残るようにしておくことも認定を受けるためには重要だと思います。
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休職手続き
就業規則で休職できる期間を確認し、診断書を提出して、会社の手続き方法に従って行います。
労災であれば、会社は従業員を解雇することができませんので、労災申請中や休職中に解雇されても、労災認定されれば、さかのぼって復職することができます。
ただし、次に紹介する傷病手当金の受給問題との関係が出てきますので、休職期間は事前に確認しておきましょう。
ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
引用:労働基準法19条1項
傷病手当金の申請手続き
原則、労災の場合は傷病手当金を申請し、受給することができません。
ただし、うつ病などの精神障害の場合は、労災認定されるかどうかわからないことや審査に時間がかかることから、実務上は労災認定されたら、返還することを前提に傷病手当金を受給することができます。
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傷病手当金の受給条件
傷病手当金は退職後にも受給することができますが、受給条件が5つあります。すべてを満たさないとダメです。
(1)業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
(2)仕事に就くことができないこと
(3)連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
(4)休業した期間について給与の支払いがないこと
(5)退職日まで1年間以上、健康保険に継続加入していたこと
退職するのであれば、(3)と(5)に特に注意する必要があります。
受給できない具体例1
休職日の翌日に会社から即日退職するように言われて、退職してしまった。
4日以上休んでいないので、傷病手当金を退職後に申請しても受給できません。
受給できない具体例2
入社後9ヶ月で休職し、11ヶ月で退職。在職中は傷病手当金を受給できますが、退職後は申請しても受給できません。
ただし、入社前にブランク期間がなく、同じように健康保険に加入し、トータルで1年間の加入が確認できれば、退職後も受給できます。
また、ブランクがあっても前職を退職後に任意継続で健康保険に加入していたらその期間も含めて、加入期間が1年間あれば、受給できます。
受給条件を満たした後に退職した場合
すべての条件を満たして、退職すれば、受給開始から最大で180日分の傷病手当金を受給することが可能です。
退職後の傷病手当金の申請には、会社の証明は不要です。
なぜなら、会社の証明は、休職中に勤務していないこと(受給条件の(2))と休職中に給料を支払っていないこと(受給条件の(4))を証明するためのものだからです。
もし、給与の仕払いがあれば、その分は傷病手当金から減額されます。
専門家に相談
一人で悩まずに、早めに専門家に相談しましょう。
うつ病など精神障害の労災認定は約30%と低いのが現実です。
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なぜなら、労基署に言われている書類を提出しているだけでは、ほとんど認定されないでしょう。
一度、否認されてから覆すのは相当難しいようなので、早めに相談したほうがよいです。
私が弁護士のサポートを受けた理由は3つあります。
認定基準に沿って労働基準監督署に主張することができる
労災認定の基準は公表されているので、自分でもできないことはありませんが、労災を専門に扱う弁護士であれば、知見もあり、的確に主張書面を作成してくれます。
また、弁護士達は自分や所属している事務所や団体であなたと同様のケースで認定されていれば、その点でも労基署に対して強く主張してくれることが期待できます。
労基署も役所なので、全国一律で同じように判断しないと問題になると考えたからです。
うつ病の療養期間中では、証拠の整理や申請書の作成は一人では困難である
病気による労災申請なんて、正直一生に一度あるかないかの手続きです。
それに、療養中ではとても主張の整理や書類の作成などままなりません。
僕も一人ではどうしたらよいのかわかりませんでした。
その点、労災に強い弁護士なら同じような手続きを常日頃から行っているので、安心です。
労災で補償されない給与分や慰謝料請求も一括で頼める
労災認定を受けることができれば、給与の8割と療養費全額の補償が受けられますので、傷病手当金と比較しても、手厚い補償が受けられます。
しかし、給与の残り2割分や慰謝料、未払い残業代などの支払いはありません。
そのため、別途、会社に責任を追求していく必要がありますので、はじめから弁護士に依頼するほうがよいと考えました。
会社が労災申請を拒否するのは無意味
あなたの病気が労災かどうか判断するのは労働基準監督署です。
そして、労災申請する権利は、労働者にあります。
会社が労災申請の事業主証明を拒否して、拒否理由を提出することも可能ですが、あなたの労災申請を妨げるものではありませんし、認定結果に大きな影響を与えるものではありません。
あくまで拒否理由を会社の意見として提出し、調査の対象になるだけです。
会社は認めてしまうと、責任を追求され、慰謝料請求されるので拒否しているのです。
下記の記事で紹介したように、社内で調査して最初から認めているようなケースは極稀です。
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粛々と拒否された経緯をまとめて、労基署に申請書と一緒に提出しましょう。
労災申請の時効
労災の給付金にはそれぞれ時効期間と起算日があります。
給付金の種類 | 時効期間 | 時効の起算日 |
休業(補償)給付 | 2年 | 仕事を休み、給料を受けなかった日ごとの翌日 |
療養(補償)給付 | 2年 | 治療費を負担した日の翌日 |
介護(補償)給付 | 2年 | 介護を受けた月の翌月1日 |
葬祭料 | 2年 | 被災労働者が死亡した日の翌日 |
障害(補償)給付 | 5年 | 傷病が治癒した日の翌日 |
遺族(補償)給付 | 5年 | 被災労働者が死亡した日の翌日 |
この期間を過ぎたからといって、申請できないわけではありません。
しかし、時効を過ぎると1日ずつ、本来給付できるものが減っていくことになりますので、時効になる前に申請手続きを終わらせましょう。
申請が受理されれば、申請した期間については時効が中断されますので、仮に審査中に時効の日を迎えても問題ありません。
厚生労働省(当時の労働省)から労災保険給付に係る後続請求の取り扱いの通達もでています。
労災認定後の手続き
労災認定を受けたら、加入していた健康保険協会・組合に連絡して、傷病手当金の返還手続きを行いましょう。
労災の給付金が振り込まれるまで待ってくれるので、すぐに大金を用意しなくても大丈夫ですし、決定から10日ほどで労災の休業補償が振り込まれます。
また、療養費も治療を始めた日から過去分をすべてさかのぼって精算しなくてはなりません。
一度、7割分(健保を使って今まで3割だけ負担していたため)を自己負担で支払わねばならず、期間が長いと高額になります。
しかし、高額であったり、すぐに立替が困難であれば、労働基準監督署と健保協会(退職後の分は国民健康保険なので、区役所など)に相談しましょう。
事情を説明して、「保険者間調整」をしてほしいと伝えましょう。
保険者間調整
労災を管理する厚労省(実務的には労働基準監督署)と健康保険組合・協会や国民健康保険を管理する市区町村が保険者になります。
労災を受ける人が一時的に自己負担しなくてもよいように、保険者間同士で連絡して相殺できる部分は調整してもらう仕組みです。
厚生労働省から「労災認定された傷病等に対して過去に医療保険から給付を受けていた場合における給付の調整について」の通達がでています。
利用する場合には、7割の自己負担分については、入金後に返金する旨の誓約書を差し入れます。
僕が実際に利用したときには、けんぽ協会と労基署で7割分を調整し、残りの3割分が僕に振り込まれました。
国民健康保険は、一度全額が私に振り込まれ、7割分を市区町村の担当窓口に振り込みました。
保険者間調整をお願いしてから3ヶ月程度はかかりましたが、領収書と療養費の請求書を提出すれば、あとは、労基署と健康保険の団体のほうで確認して手続きが終了しますので、一時的に療養費の負担が困難な場合にはオススメです。
まとめ
うつ病で退職してしまっていても、労災申請することはできますので、安心してください。
休職中の方は、退職後の傷病手当金を受給しながら、労災の結果が待てるように、自分の状況を確認しておくことが大事です。
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会社が労災の申請を拒否してきても、無駄な抵抗なので、粛々と手続きを進めていきましょう。
労災認定されたら、保険者間調整の制度をうまく活用して、療養費や傷病手当金の返還手続きを進めていきましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
この情報があなたの新しい生活の一助になることを願っています。