どうも、労災認定を受けることができたゴローです。
この記事は以下の悩みをお持ちの方に向けた記事です。
「労災申請は書類が沢山あって、申請がめんどくさそうだけど、いつまでにやればいいのだろうか」
「自分の病気は、いつまでに労災申請すればいいのだろうか」
はじめて、労災申請をしようと考えている方は、同じような悩みをお持ちだと思います。
実際に、僕も同様の悩みを持って不安を抱えていました。
僕が労災申請時の期限について、労働総合センターの職員の方や弁護士のサポートを受けながら申請した内容を踏まえて、解説します。
きっと、あなたの知りたい内容がこのページには書いてありますので、ぜひご確認ください。
労災保険給付別の期限一覧
労災保険は1種類でなく、休業に対する補償や療養に対する補償など様々な給付があります。
それぞれに申請の期限として、時効が設定されています。
給付内容 | 時効 | 時効の起算日 | |
休業補償給付 | 業務上の負傷または疾病で休業し賃金が支払われなかった場合に休業4日目から給付される | 2年 | 仕事を休んで給料を受けなかった日毎の翌日 |
療養補償給付 | 業務上の負傷または疾病により病院等で治療を受けた場合に、治療費の全額が給付される | 2年 | 治療費を負担した日の翌日 |
遺族補償年金 | 被災者が死亡した場合に、遺族に対して給付される。業務上災害は遺族補償年金、通勤災害では遺族年金として給付される | 5年 | 被災者が亡くなった日の翌日 |
障害補償給付 | 業務上の負傷または疾病で障害が残った場合、障害等級に応じて年金または一時金が給付される | 5年 | 傷病が治癒した日の翌日 |
介護補償給付 | 災害により、一定の障害に該当するものがあり、介護を受けている場合に給付される | 2年 | 介護を受けた月の翌月1日 |
葬祭料 | 被災者が死亡した場合、遺族や友人など労働者の葬祭を行うものに対して一定額が給付される | 2年 | 被災者が亡くなった日の翌日 |
労災申請の期限(時効)を過ぎたらどうなるか
労災保険の各給付金の請求権を失ってしまいます。
ただし、時効を過ぎたから言って、すべての期間の請求権を失うわけではありません。
請求権を失わないためにすべきこと
具体的には労働基準監督署に各種給付金の書類を提出し受理されると時効を中断することができます。
労災指定医療機関で受診した療養保障給付だけは、受診したところに提出しますが、この場合は受診料の請求がない現物支給という給付方法になりますので、時効はありません。
ただし、健康保険証を利用して受診して、労災認定後に精算する場合には、時効は2年間になります。
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労災申請の具体的事例の期限(時効)
労災申請の請求権と期限(時効)の関係について、具体例を見ながら解説します。
期限(時効)より前に起きた労災事故を申請する場合
例)3年前に労災事故が発生 休業補償を請求。
休業補償では「仕事を休んで給料を受けなかった日毎の翌日」が時効の起算日になりますので、労災申請が受理された日から2年間の休業補償は給付されます。
しかし、過去1年分については支給されません。
労災申請中に期限(時効)になった場合
例)1年半前に労災事故が発生。過去1年半分の休業補償を請求したが、審査に1年かかったため、事故発生から2年半後に労災認定。
過去1年半分の休業補償請求が受理された段階で時効は中断していますので、事故発生から時効を超える2年以上が経っていても全額給付されます。
この場合、請求している1年半分以降も休業していたのであれば、請求していない日の分は、審査中であれ、労災認定後であれ、どちらにせよ時効が来る前に請求をして時効を中断しておきましょう。
審査請求・再審査請求・取り消し行政訴訟中に期限(時効)になった労災申請の場合
例)1年前の労災事故の休業補償請求をしたが、労働基準監督署に認められずに不支給。
労基の決定を不服として、審査請求を行った。
労基署の調査が1年かかり、審査請求と再審査請求で2年がかかったが、労災認定されなかったため、取り消し行政訴訟を提訴して、1年後に労災認定された。
例)労災事故発生から5年が過ぎていた。
この場合は、審査請求前の時点で労働基準監督署が労災の不認定を行っていますので、時効を中断するために、請求書を提出しても受理されずに、却下されます。
しかし、最終的に審査請求や再審査請求、取り消し行政訴訟に至って、労災認定がされれば、後続請求が認められ、全額支給されます。
精神障害などのうつ病で労災申請する場合は、このように労災認定されるまでに長い期間がかかるケースもあります。
そのため、厚生労働省が後続請求の取り扱いという内容で通達を出しています。
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退職後に労災申請をする場合
労災の請求権は退職によって失われません。
そのため、退職していても、会社に在職して休職していても期限(時効)は同じです。
完全に労災申請の期限(時効)が過ぎてしまった場合
例)3年前に発生した労災事故の休業補償請求。すでに2年前に療養も終了し、働いている。
この場合は、労災申請の期限を過ぎているので、休業補償は支給されません。
労災ではなく、会社へ請求することが可能
上記のような場合、労災保険は給付されませんが、会社は労働基準法で仕事が原因でケガや病気になってしまった従業員に対して補償する義務を負っていますので、会社に補償を求めることができます。
なぜなら、会社は労災保険を利用して従業員に補償していることになっているので、会社の責任は残っている状態だからです。
この場合は3年が時効期間となります。
労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。
会社への損害賠償等の請求
労災では会社の責任の有無が支給額に影響を及ぼすことはありません。
例えば、パワハラがあったからといって、労災の休業補償の支給額が8割から10割になるということはありませんし、パワハラによる精神的苦痛も支給額には反映されることはありません。
また、労災事故が発生しないように会社が対策をしていなかったからといって増減されることもありません。
あくまでも、労働基準監督署は、あなたのケガや病気が業務上の出来事が関係して起きた事故であるかどうかを客観的に判断して、療養に掛った実費や決められた計算式に当てはめて算出した額を支給するだけです。
そのため、会社には「不法行為責任」と「安全配慮義務違反」を追求し、損害賠償請求を行うことになります。
不法行為責任
パワハラやセクハラなど職場の嫌がらせ・いじめなどが該当します。
この行為に関する責任を追求できる期限は10年です。
ただし、2020年4月の民法改正により、改正後に起きた行為では債権者が行使できることを知った時から5年間、会社に請求できるときから10年間の不行使によって時効となります
1 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
1-1 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
1-2 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
安全配慮義務違反
1991年に発生した電通社員の過労事件の裁判で、安全配慮義務が会社に求めらる判決(2000年に結審)が出て以降、会社も労働者もこの義務を会社が負っていることが認識されました。
その後、労働契約法にも明確に記載されています。
この行為に対する時効も上記の不法行為責任と同様の時効になります。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
まとめ
労災の申請期限は、各種給付金に応じて、2年か5年の時効が設定されており、起算日の考え方はそれぞれ異なります。 どうも、労災認定を受けることができたゴローです。 この記事は以下の悩みをお持ちの方に向けた記事です。 「労災申請は書類が沢山あって、申請がめんどくさそうだけど、いつまでにやればいいのだろうか」 「自分 ... 続きを見る
労災申請の期限をケース別に解説!きっとあなたのケースもあります
時効を過ぎてしまうと1日毎に支給される金額が減っていくことになります。早めに申請しましょう。
給付金の請求書が受理されれば、時効が中断しますので、時効が近い場合には専門家のサポートなども検討して手続きを済ませましょう。
もともと、労災保険自体が会社が補償すべきものを保険利用することで給付されているものになりますので、時効が過ぎたからといって、会社の責任がなくなるわけではありません。
また、会社には他にも不法行為責任や安全配慮義務違反などの責任を追求することができることもあります。
そういった点も踏まえて、一人で悩まずに、労災に強い弁護士のサポートを受けることをオススメします。
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ここでの情報があなたの新しい生活に向けた一助になれば幸いです。