こんにちは、長時間労働とパワハラでうつ病となり、労災認定を受けたゴローです。
先日、京都市南区の「巌本金属」に勤務する男性がパワハラでうつ病となった事件の報道がありました。
僕自身も過労死寸前で労災認定された経験があります。
僕の経験を踏まえて、この事件のようなことがこの会社や同じ業界で再び起きることがないように願い、この痛ましい事件の概要を考察していきたいと思います。
参考:管理職8人から5時間超の「パワハラ説教」で労災認定 被害男性が会社提訴
事件概要
2019年8月に金属原料加工会社である「巌本金属」に勤務する男性が上司からのパワハラを受けるなどしてうつ病を発症し、就労が困難になったため、休業損害を求めた事件。
勤務先
京都市南区にある金属原料加工会社の「巌本金属」
事件の当事者
工場勤務の50歳の男性
勤務状況
1993年から工場に勤務し、スクラップを集める運転業務のほか、工場内での業務を行い、月80時間から100時間を超える時間外労働は珍しくなかった。
2015年9月に「お客さんにアゴで指図した」ことなどを理由として、5時間以上、会社の管理職8人で男性を取り囲んで叱責。
2016年2月に、通勤に片道2時間半以上かかる工場に転勤を命じられる。
転勤命令の翌日に寝床から起き上がる事ができないほど体調が悪化していまし、就労不能。
有給を使用後は欠勤扱いで2017年3月に休職期間満了で退職扱いとなった。
労災
京都下労働基準監督署で労災と認められなかったが、審査請求で京都労働局が労災認定。
損害賠償請求
京都地裁に提訴中
会社の対応
8月17日現在、「訴状が届いていないので、コメントできない」とコメント
巖本金属株式会社とはどんな会社なのか
京都市南区上鳥羽鉾立町1番地に本社がある金属原料加工会社です。
設立は昭和45年の会社で、金属リサイクル事業。産業廃棄物処理事業、IKエンタテイメント事業、映画館・アートハウス運営事業と幅広く展開しており、従業員数は300名の企業。
巌本金属のパワハラ事件の考察
本事件で労働基準監督署が、なぜ労災認定されなかったのかは明らかではないが、労働局で認定された以上、会社側の安全配慮義務を追求する裁判と推測される。
会社側は支払う額を最低限に抑えるために、裁判上、争うものと思われるが、被害者である原告はすでに就労しているため、それまでの期間のバックペイを求めている。
時間外労働も時効が2年のため、最大で1300万円相当を求めている模様である。
今回、8人で一人を取り囲み5時間以上も叱責したというひどい出来事が報道されているが、労災の認定基準に照らせば、「出来事の類型」対人関係の嫌がらせ、又は暴行を受けたに該当すると思われる。
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この類型では、部下に対する上司の言動が業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われた場合は、心理的負荷が「強」となり、労災認定される。
5時間以上を8人で取り囲むのは、明らかに業務の範疇を超えているし、時間的な観点からも執拗に行われたものと考えられる。
叱責の内容は不明ながらも録音を取っていたとの報道があるため、それが決定的な証拠になった可能性がある。
労災認定を受ける場合、僕自身もそうであったが、労働時間を証明することが客観的な証拠となりやすく、労災認定を受けるためには重要であるが、パワハラは録音等の証拠がないと、なかなか第三者に対して証明することは難しい。
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2020年6月からパワハラ防止法が施行されても実務上は今までと変わりがないと考えられ、パワハラによる労災認定率に変化は期待できないと考えられる。
そのため、パワハラ等を受けている方は早急に休職や退職・転職などで職場を離れることをオススメする。
本事件でも1300万円を請求し、最終的にいくらで決着するかわからないが、時間や手間を考えれば、割りに合わない。
僕自身がパワハラや長時間労働で会社との裁判や労災認定を受けてそう感じている。
一番の対処法は、職場から勇気ある撤退をすることであるが、巻き込まれてしまったら、早めに専門家に相談して対処するしかない。
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ここでの情報が、あなたの働き方を見直す一助になれば、幸いです。