ニュース 労災

パナソニック産機システムズの内定者へのパワハラ事件からSNSの拘束力を考察

こんにちは、ゴローです。

パナソニック小会社であるパナソニック産機システムズから内定を受けていた男性が人事課長によるパワハラで自殺したとの報道がありました。

私もこの事件のようにSNSで長時間の拘束やパワハラを受けて、うつ病となり、労災認定を受けました。

このような痛ましい事件が二度とこの会社でも他の企業でも起きないために、私の経験を踏まえて、この事件の概要とSNSによるパワハラに対する考察をしたいと思います。

事件概要

パナソニック小会社「パナソニック産機システムズ」内定が出ていた男子大学生が2019年2月に自殺してしまった事件。

勤務予定先

東京都墨田区に本社がある「パナソニック産機システムズ株式会社」

亡くなった方

2019年当時22歳の男子大学生
パナソニック産機システムズから内定が出ていた

パワハラ内容

2018年5月 内々定(2019年4月入社予定)

人事課長より内定者向けのSNS上で、入社後の配属先への決定権をちらつかせ、毎日ログインすることを強要し、監視していることを強調されたり、入社後の過重労働を示唆して、精神的に追い込まれていた。

2019年1月頃から入社に対して迷い始めたことを口にしていた。

2019年2月中旬頃に自殺してしまった。

人事課長の投稿内容

「誰がいつサイトに入っているかは人事側で見えています」

「毎日ログインしていなかったり、書き込まない人は去ってもらいます」

「無理なら辞退してください、邪魔です」

「僕は徹底して、露骨にエコ贔屓するからね。なめるなよ、54のおっさんを!」

「サイトやってないような奴は、丸坊主にでもして、反省を示すか?」

「ギアチェンジ研修は血みどろになるくらいに自己開示が強制され、4月は毎晩終電までほぼ全員が話し込む文化がある」

労災

内定者は雇用契約は成立していると考えられますが、就業開始前のため、会社側も入社前の人の分は労災保険の加入手続きはしていないので、労災申請自体ができないものと考えられます。

損害賠償

遺族の方が、会社側に謝罪と慰謝料を請求する予定。

会社の対応

ホームページ上で「当社入社内定者に関する報道について」を公表しています。

2019年2月にパナソニック産機システムズ株式会社の内定者が、入社前に亡くなられた事は事実です。
会社として誠に申し訳なく、謹んでお詫び申し上げます。
亡くなられた方に謹んで哀悼の意を表すると共に、ご遺族の皆様に衷心よりお悔やみ申し上げます。
入社前の研修中に亡くなられた事実を厳粛に受け止め、このような事態を二度と繰り返さないよう、再発防止に取り組んでまいります。

パナソニック小会社の「パナソニック産機システムズ株式会社」はどんな会社か

従業員約1600名で業務用設備機器・システムの販売・施工・サービスを行っている会社です。

本社を東京墨田区に構え、全国に8支店の営業拠点を持っています。
海外にも中国やシンガポール、香港など東南アジアに11の関係会社があります。

パナソニック産機システムズの取り扱い商品

業務用の冷蔵庫や食器洗浄機、自動販売機などです。
また、空調系の業務用のエアコンなども取り扱っています。

パナソニック産機システムズ株式会社・人事課長によるSNS上のパワハラに対する考察

入社前のパワハラの判断

まず、この人事課長が行った行為は、まだ入社前の内定者に対してですが、パワハラに該当するでしょう。

なぜなら、パワハラの3つの要素を含んだ行為のことを言います。

1.優越的な関係に基づいて行われること
2.業務の適正な範囲を超えて行われること
3.身体的もしくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

この事件では、人事課長が入社後の配属先への権限を持っていることをちらつかせていることから、優越的な関係に基づいて行われており、抵抗や拒絶が難しい状況だったと言えます。

また、SNS上へのログインや書き込みを強要する行為は、社会通念上からみて許容の範囲を超えていると思います。

最後に、亡くなられた男性は精神的な圧力を感じて、体調を崩しているわけですから、3つ目の要素にも該当しています。

以上から、人事課長の行為はパワハラと言えると思います。

入社前だから拒否できた可能性

入社前で対面での行為ではないとはいえ、拒絶することは難しかったと思います。

上記のように、入社後の人事権を持っていることをちらつかせつつ、逃げられないようにログイン履歴を管理して拘束していることから悪質で拒絶は困難だったと言えます。

また、男性と会社側の関係は、就業が開始していないとはいえ、内定が出ているために労働契約は成立しています。

つまり、男性側から入社を拒否すれば、損害賠償請求をされるリスクがあります。

この事件で、会社側が請求できるような入社前の研修費などがあったかどうかはわかりませんが、人事権を持ち、エコ贔屓すると自らひけらかすような54歳の人事課長に監視されながら、圧力を掛けられたら、拒絶するのは難しかったと考えます。

他の人事部員は何をしていたのか

内定者用のSNSは、人事課長のみで運用されていたのかどうかはわかりません。

他の部員や課長の上司である部長は見れなかったのでしょうか。

普通に考えれば、人事課長の趣味で使ったものでないので、業務連絡なども含まれていたと思いたはずですから、他の部員もみていたでしょう。

人事課長の部下は自分たちも同じようにやられていて、止めることができなかったのかもしれません。

人事部長は見て見ぬふりだったのか、真相はわかりませんが、これがパナソニック産機システムズの体質ではないかと思います。

SNS上で仕事関係のやり取りをするストレス

私もフェースブックのメッセンジャーで業務連絡をするのが大好きな社長と働いたときのストレスは半端なかったです。

常に自分のメッセージが既読になったかをチェックしており、休日や時間帯を問わずに返事がないと1−2分おきに返信を催促し、返信しなかった社員には翌日の朝礼で吊し上げていました。

また、怒り出すと五月雨式にメッセージを送ってきて、どんどん自分の中の怒りをコントロールすることができないようで、発言も過激となる傾向がありました。

おそらく、自分の目の前に相手がいないので、相手の反応は測ることができず、頭の中にある思考をすべて吐き出してしまうのだろうと思います。

そのため、こちらが返信する前に次のメッセージがきていて、既読したときにはすごく怒っている状態なんてこともよくありました。
(途中で返信しようとすると、まだ書いている途中だから返信するなと怒る始末)

このような状態のため、返信1つにも気を使うようなことがあり、すごいストレスを感じました。

労災と損害賠償請求

この事件では労災保険の適応が困難だと思います。理由は事件概要の労災の項目で記載した通りです。

補償を受ける方法は労災だけではありません。

損害賠償を会社側に請求する方法が考えられます。

内定者と安全配慮義務の関係

この事件で注目したいのは、入社前の内定者に対するパワハラ行為とSNS上のやり取りに対して安全配慮義務が問えるのかどうかです。

安全配慮義務は1991年に亡くなった電通社員の方の裁判で初めて明確にされ、その後、労働契約法5条にも明文化されています。

労働契約法 5条
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

安産配慮義務違反となるかどうかは、内定者とのSNS上のやり取りが裁判所でどのような位置づけになるのかがポイントになると思います。
人事部長や他の人事部員がどのようにこのSNSを管理したのかもポイントだと思います。

SNS上の拘束力とパワハラ

SNS上の履歴は労働基準監督署や裁判所という第三者に対してパワハラとしての証拠能力は高く、この事件でもパワハラ行為自体は認められるのではないかと思います。

一方で第三者に対してSNSの拘束力を説明し、納得を得るのは、難しいと思います。

僕自身の体験からは仕事の連絡先のツールとしてSNSを使われた場合の拘束力はすごく強いと思います。

しかし、労災申請の際にSNS上の履歴の証拠では、労働上の拘束力は認められず、社内にいない状態で行ったSNS上の仕事のやり取りは労働時間として算入されませんでした。

僕の場合、SNS上の履歴を除いても労災認定されましたが、この事件は今度のSNS上の拘束力に対してどのような判断が下されるのか注目したいと思います。

同じような環境で悩んでいる方へ

あなたがこのページで紹介した事件と同じようにパワハラで悩んでいるなら、今すぐ、会社をやめましょう。

このまま働き続けたら、心と身体がおかしくなってしまいます。

どんな人で毎日つらい環境で働いていれば、あっという間に正常な判断をすることができなくなり、体調を崩してしまいます。

悪くなるのは一瞬でも、良くなるのには時間がかかります。

僕自身、1年もたたずに体調を崩してしまいましたが、以前のように働けるようになるには、2年以上療養が必要でした。

会社を辞めるとなれば、以下のような不安があると思います。

「転職先が決まってないのに、退職して大丈夫だろうか」

「入社したばかりなのに、退職して次の仕事は見つからるだろうか」

「急に会社を辞めて、家族になんて説明しようか」

「退職後の生活費はどうしようか」

「そもそも会社は辞めさせてくれるだろうか」

「仕事を途中で投げ出すことなんてできない」

転職先が決まっていたり、お金の心配がない状態で退職することができればよいですが、ブラック企業に勤めながら、転職活動をするのは大変です。

退職後の心配ばかりして、過労死寸前までブラック企業にこき使われて、転職活動する元気も時間もなく、病気になったら解雇されてしまうような人生は最悪です。
というか、昔の僕です。

あなたが同じように時間も元気もない状態なら、サクッとブラック企業を辞めてから、全力で就活したほうが、早く良い仕事が見つかると思いますよ。

すでにうつ病などを発症してしまっている場合は、労災に強い弁護士に相談しましょう

この記事がパワハラ等の過労死について考えるきっかけになれば幸いです

最後までご覧いただきありがとうございました。

参考:
内定者自殺は「人事課長が交流サイトでパワハラ」 遺族側、パナソニック子会社に謝罪要求へ

内定者にSNSで「辞退して。邪魔です」 入社前に自殺

  • この記事を書いた人
goro

ゴロー

うつ病で休職して労災認定された人。復職せず、フリーランスと会社員のダブルワーク。休職してからフリーランスで稼ぐまで3年間は給料なし。休職・傷病手当・労災保険・失業保険など再起を図るために必要な情報を配信中。会社や役所が丁寧に教えてくれず「原則は〜」で説明を終わらせてる情報を、うつ病、休職、退職で苦しんでる人に届けたい。 【経歴】 ブッラク企業入社→うつ休職→労災認定→職業訓練→フリーランスと会社員のダブルワーク

-ニュース, 労災

© 2022 休職の歩き方